肩こりからくる頭痛は、まず原因の傾向をセルフチェックで見つけ、その原因に合うツボを試すことで和らげやすくなります。

肩こり頭痛は、うつむき姿勢からくるもの、肩をすくめる緊張からくるもの、目の疲れからくるものなど、出方が人それぞれ違います。原因と違う場所を押しても、手応えを感じにくいのはそのためです。
この記事のゴールは、10項目のセルフチェックで自分の頭痛の原因の傾向を見つけ、それに合うツボを試しながら、頭痛に振り回されない普通の毎日を取り戻すことです。合うツボは一つとは限りません。いくつか試して、自分に合うものを見つけていきましょう。
肩こり頭痛は「原因の出方」が人それぞれ違う
同じ「肩こりからくる頭痛」でも、原因になっている生活の負担は人によって異なります。
長時間うつむく人は首の付け根に負担が集まりやすく、無意識に肩をすくめる人は肩の上部が張りやすくなります。画面を見続ける人はこめかみや目のまわりに疲れが出やすく、キーボードやマウスをよく使う人は手や前腕から首肩へ負担が波及することもあります。
原因の出方が違えば、和らげやすい場所も変わります。だからこそ、有名なツボを片端から押すのではなく、まず自分の原因の傾向を知り、そこに合うツボを探すことが近道になります。
この記事のゴール|原因を見つけて頭痛のない日常へ
ゴールは、ツボの名前を覚えることではなく、自分の頭痛の原因の傾向を見つけ、合うツボを試して、変化を自分で確かめられる状態になることです。
原因の見当がつかないまま押すと、効いているのかどうかが分からず、セルフケアが続きません。反対に、原因の傾向をつかんでから試せば、「この場所は自分に合っていた」と手応えを感じながら続けられます。
チェックで原因を探す、対応するツボを試す、やさしく押す、押す前後を同じ動きで比べる。この4段階を一つの流れとして行ってください。
頭痛の原因を見つける4つの手順
- 10項目でチェックする:普段の姿勢や、張り・重さを感じる場所に近い項目を選びます。
- 原因の傾向に対応するツボを試す:当てはまった項目に対応するツボを候補にします。複数当てはまってかまいません。
- 5秒押して離す:指の腹で5秒ほどやさしく押し、ゆっくり離す動作を3回行います。
- 同じ条件で比べる:押す前後で首の向きや肩の上げやすさなどを比べ、手応えのある場所を見つけます。
大切なのは、強く押すことでも、一度に全部押すことでもありません。一つずつ試して前後を比べれば、合うツボが二つ三つ見つかることもあります。自分に合うものを見つけていきましょう。
10項目セルフチェック|あなたの頭痛の原因を探す
次の10項目から、現在の状態に近いものを選んでください。これは原因を診断するものではなく、頭痛や肩こりの原因の傾向を見つけ、試すツボの見当をつけるためのセルフチェックです。
- ① うつむく時間が続くと、首の付け根の中央寄りが張る
- ② 首すじから後頭部の外側にかけて重く感じる
- ③ 仕事や家事の最中に、無意識に肩をすくめている
- ④ 肩の上部を触ると、そこに張りが集まっている
- ⑤ スマートフォンやマウスを使ったあと、手まで疲れる
- ⑥ 頭のてっぺん周辺に重さを感じる
- ⑦ 画面を見続けると、こめかみ周辺が張る
- ⑧ 目を休めたとき、こめかみ周辺の感覚も変わる
- ⑨ キーボードやスマートフォンの操作後、前腕の外側が疲れる
- ⑩ 肘から手首にかけての張りと、首肩の負担を一緒に感じる
当てはまる項目は一つとは限りません。複数選んでかまいません。まずは、いちばん頻繁に感じるものから確認していきましょう。
チェック結果から原因の傾向と試すツボを知る
当てはまった番号から、原因の傾向と、試すツボの候補が分かります。複数当てはまった場合は、対応するツボを一つずつ試してみてください。
| チェック番号 | 原因の傾向 | 試すツボ |
|---|---|---|
| ① | うつむき姿勢型(首の付け根に負担) | 天柱 |
| ② | うつむき姿勢型(後頭部の外側に負担) | 風池 |
| ③・④ | 肩すくめ型(肩の上部に負担) | 肩井 |
| ⑤ | 手・腕からの波及型(手の疲れ) | 合谷 |
| ⑥ | 頭の重さ型(頭頂部に負担) | 百会 |
| ⑦・⑧ | 目の疲れ型(こめかみに負担) | 太陽 |
| ⑨・⑩ | 手・腕からの波及型(前腕に負担) | 手三里 |
同じツボに対応する項目が2つ当てはまった場合は、その原因の傾向が強いと考えられ、試す優先度の目安になります。複数のタイプに分かれた場合も、慌てず一つずつ試して、手応えのある場所を見つけていきましょう。合うツボはその日の状態で変わることもあります。
共通の押し方|5秒を3回、呼吸は止めない
ツボは、指の腹で5秒ほど押してゆっくり離す動作を3回行えば十分です。
強く押すほどよいわけではありません。皮膚が軽く沈む程度から始め、呼吸を止めずに行います。左右にある場所は、気になる側から片側ずつ押してください。一度にたくさんの場所を刺激しすぎず、一つ試すごとに前後を比べると、どの場所が自分に合うか分かりやすくなります。
傷や腫れがある場所、押すと鋭い痛みが出る場所は避けます。位置を探すときも、指先で何度も強く押し込まないようにしましょう。妊娠中の方、治療中の病気がある方は、事前に医療者や施術者に相談してから行ってください。
原因別・自分に合うツボ7選|正確な位置と押し方
位置は、骨や筋肉など触れて確認できる目印から探します。以下ではWHOの標準経穴部位をもとに、専門的な位置と自分で探すときの目安を併記します。
1.天柱(てんちゅう/BL10)|うつむき姿勢型・首の付け根
チェック①に当てはまる、うつむき姿勢型の方は天柱から試します。専門的には、後頭部で第2頚椎の棘突起上縁と同じ高さ、僧帽筋外縁のくぼみに位置します。首の中心線から左右へ少し外側にある、太い筋肉の外縁を目印にしてください。

両手の親指を当て、頭の重さを指に預けるように5秒押して離します。上方向へ強く押し込まず、首の筋肉をつぶさない程度で3回行いましょう。
2.風池(ふうち/GB20)|うつむき姿勢型・後頭部の外側
チェック②に当てはまる、後頭部の外側が重い方は風池を試します。位置は後頭骨の下、胸鎖乳突筋と僧帽筋の付着部の間にあるくぼみです。天柱よりも外側で、耳の後ろから首すじへ指を滑らせた先を目印にします。

左右のくぼみに親指の腹を当て、5秒押して離す動作を3回行います。首を反らしながら押さず、正面を向いた楽な姿勢で試してください。
3.肩井(けんせい/GB21)|肩すくめ型・肩の上部
チェック③・④に当てはまる、肩すくめ型の方は肩井を試します。位置は、第7頚椎の棘突起と肩峰外縁を結ぶ線の中点です。首を前へ倒したときに目立つ首の付け根の骨と、肩先の骨のちょうど中間を目印にします。

反対側の中指または人差し指を当て、真下へ5秒ほどやさしく押して離します。肩をすくめず、腕を楽にした状態で左右を分けて行いましょう。なお肩井は、妊娠中は刺激を控えるようすすめられることがあります。該当する方は事前にご相談ください。
4.合谷(ごうこく/LI4)|手・腕からの波及型・手の疲れ
チェック⑤に当てはまる、手の疲れを感じる方は合谷を試します。正確な位置は、手の甲側で第2中手骨の中央、親指側の縁です。「親指と人差し指の間」だけで探すのではなく、人差し指につながる骨の中央を目印にしてください。

反対側の親指を当て、人差し指側の骨へ向けるように5秒押して離します。手を強くつままず、左右それぞれ3回を目安にしてください。合谷も妊娠中は刺激を控えるようすすめられることがあります。
5.百会(ひゃくえ/GV20)|頭の重さ型・頭頂部
チェック⑥に当てはまる、頭頂部の重さを感じる方は百会を試します。位置は頭の正中線上で、前髪の生え際から後方へ5骨度(後ろの生え際からは前方へ7骨度)、左右の耳の頂点を結ぶ線との交点です。自分で探すときは、両耳のいちばん高い位置から頭頂へ線を伸ばし、頭の中央線と交わる場所を目印にします。

中指の腹を当て、頭皮を軽く沈める程度で5秒押して離します。爪を立てず、まっすぐ下へ強く押し込まないようにしてください。
6.太陽(たいよう/EX-HN5)|目の疲れ型・こめかみ
チェック⑦・⑧に当てはまる、目の疲れ型の方は太陽を試します。位置は、眉尻と目尻の中間点から後方へ約1骨度のくぼみです。こめかみ全体を強く探すのではなく、眉尻と目尻の外側から少し後ろへ指を滑らせて確認します。

中指の腹を当て、皮膚をこすらず5秒ほどやさしく押して離します。眼球の方向へは押さず、骨のくぼみに沿って軽い力で3回行います。
7.手三里(てさんり/LI10)|手・腕からの波及型・前腕の外側
チェック⑨・⑩に当てはまる、前腕の疲れを感じる方は手三里を試します。位置は前腕後外側で、陽渓と曲池を結ぶ線上、肘の横じわ外端にある曲池から手首側へ2骨度です。分かりやすく言うと、肘から手首までを12等分したうち、肘側から2つ分の位置が目安です。

反対側の親指を当て、前腕へ垂直に5秒押して離します。筋肉を横から強くつままず、左右それぞれ3回を目安にしてください。
押した前後を同じ動きで比べて手応えを確かめる
ツボを押したあとは、押す前と同じ動きで変化を比べます。これが、自分に合うツボを見つけるいちばんの手がかりになります。
比較する動きが毎回変わると、その場所が自分に合っていたのか判断しにくくなります。次のうち一つを、押す前と後で同じ条件で確かめてください。
- 首を左右へ向いたときの動かしやすさ
- 肩を上げ下げしたときの重さ
- 気になる場所の感覚を0~10で表した数値
押す前に一つ確認し、5秒×3回のあとに同じ条件で確かめます。変化を感じたツボが、今の自分の原因に合っている場所です。手応えのある場所が複数見つかることもあります。変化が分からない場合は強く押し直さず、チェック結果の別の候補を試してください。
原因探しで避けたい3つの失敗
合うツボを見つける前に、手当たり次第に押す
原因の見当をつけないまま次々と押すと、どの場所が自分に合うのか分からなくなります。まず10項目チェックで原因の傾向をつかみ、対応するツボを一つずつ試して前後を比べましょう。
強いほどよいと考える
ツボは強く押す必要はありません。押した部分に痛みが残るほど刺激すると、セルフケアを続けにくくなります。最初は皮膚が軽く沈む程度で十分です。
曖昧な位置を何度も探す
骨や筋肉の目印を使わずに探すと、同じ場所を再現できません。図解の点だけでなく、第2頚椎、後頭骨、肩峰、第2中手骨などの目印も一緒に確認してください。
まとめ|原因に合うツボを見つけて日常を取り戻そう
肩こりからくる頭痛は、10項目チェックで原因の傾向を見つけ、それに合うツボを試すことで、頭痛のない普通の毎日に近づけます。
うつむき姿勢型なら天柱や風池、肩すくめ型なら肩井、目の疲れ型なら太陽、頭の重さ型なら百会、手・腕からの波及型なら合谷や手三里が、試すツボの目安です。合うツボは一つとは限らず、その日の状態で変わることもあります。
選んだ場所を5秒ずつ3回やさしく押し、押す前後を同じ動きで比べてください。手応えのあるツボが、あなたの原因に合った場所です。反応が分かりにくいときは力を強くせず、チェック結果から次の候補を試しましょう。強い痛みや、突然の激しい頭痛、しびれを伴う場合は、医療機関での確認を優先してください。
参考文献
- World Health Organization. WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region. 2008.
- Lim S. WHO Standard Acupuncture Point Locations. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2009.
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